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日本精神史としての刀剣観
副題
叢書名
著者名 酒井 利信著
出版年月日 2005.1.15
日本図書コード ISBN978-4-8042-0758-2 C3075 \9000E
判型 A5判
ページ数 420
定価 本体9,000円+税
概要 剣道の文化性についての問題意識から論を起こし、古代から近世までの精神史を考える。特に、そのルーツを古代朝鮮さらには春秋時代の中国にまで追い求め、東アジアを舞台とした壮大なスケールで論を繰り広げる。日本人の刀剣に対する思いを、精神文化史の問題として解き明かした初めての書。
<主な内容目次>
序章
 
1研究の目的 2研究対象と時代設定 3研究方法 4先行研究 5文献史料について

第1章 古代中国・朝鮮における刀剣観について
 第1節 はじめに
 第2節 中国歴史書・小説に見られる刀剣観―漢代以前を中心に―
  1『史記』高祖本紀にみる刀剣―武的認識から帝位の象徴へ―
  2『越絶書』にみる刀剣
  3『呉越春秋』にみる刀剣
  4「剣の観念」の萌芽
 第3節 中国の信仰・宗教に関わる刀剣観―六朝時代以後を中心に―
  1星辰信仰と刀剣
  2道教と刀剣
  3仏教と刀剣
 第4節 古代朝鮮における刀剣観
  1金ユ信伝―対と星―
  2類利の王位継承―対をなす剣―

 第5節 おわりに
第2章 古代日本における刀剣文化受容の様相
 第1節 はじめに
 第2節 刀剣文化受容に伴う古代信仰の変化
  1火神と刀剣
  2蛇神と刀剣
  3雷神と刀剣
 第3節 古代神話に見られる刀剣の属性について
  1剣による対立相の統合―原初的超越性―
  2天上と地上を繋ぐ刀剣
 第4節 おわりに
第3章 宗教に関わる刀剣観
 第1節 はじめに
 第2節 刀剣の呪術性
  1「うけい」の呪術
  2辟邪の呪術
 第3節 神社と刀剣―神の象徴としての刀剣―
  1熱田神社と刀剣
  2石上神宮と刀剣
  3鹿島神社と刀剣
 第4節 修験道と刀剣
  1修験道思想におけるシャーマニズム
  2不動信仰と刀剣
  3修験者の呪術宗教活動と刀剣
 第5節 おわりに
第4章 三種の神器にみられる刀剣観
 第1節 はじめに
 第2節 平安朝以前の神器―祭器から儀仗へ―
  1三種の神器と草薙剣
  2「天孫降臨神話」再考
  3神器と天皇
 第3節 鎌倉時代における三種の神器―『平家物語』中心に―
  1中世における『平家物語』の位置づけ
  2皇位の象徴としての三種の神器
  3草薙剣の特殊性
 第4節 南北朝・室町期における三種の神器
  1三種の神器の一般化
  2皇位と三種の神器
  3草薙剣の変質
 第5節 おわりに
 草薙剣・三種の神器年表

第5章 近世剣術および刀剣観
 第1節 はじめに
 第2節 近世剣術において前提となる「剣の観念」
  1神の象徴としての刀剣観
  2三種の神器観
  3前提となる基本的象徴体系
 第3節 武の象徴としての刀剣―共通理解の近世的展開―
  1武士の表徴としての刀剣

  2武器の表徴としての刀剣
  3治国の表徴としての刀剣
 第4節 新陰柳生流における「剣の観念」―心と剣―
  1新陰柳生流について
  2技術論における心と剣の関係性
  3倫理・道徳的精神性の象徴としての剣
 第5節 示現流における「剣の観念」―近世剣術が目指した二つの方向性―
  1示現流について
  2『示現流聞書喫緊録』にみる技術観
 第6節 新当流における「剣の観念」―『兵法自観照』にみる辟邪の呪術―
  1新当流について
  2『兵法自観照』にみる刀剣観の概要
  3呪術性
 第7節 おわりに
結章
 1各章における結果の要点 2日本刀剣観の体系 3剣の観点 4辟邪の呪術 5近世剣術に内在する日本精神史 6今後の課題
文献目録
あとがき
索引