書名:宮古島の信仰と祭祀
副題: 
叢書名: 
著者名:岡本恵昭 著
発行日:2011.1.30
ISBN:978-4-8042-0780-3 C3039 \8000E
判型:A5判
頁数:492頁・口絵4頁
定価:本体8,000円+税

宮古島は祈りの島である。そして、謎の多い島でもある。琉球列島の中で、古神道の姿を今もなお色濃く残しているこの島で、著者は古くから民間信仰の研究に取り組んできた。自分の生まれた島の自分たちの信仰行事を詳細にまとめたのが本書である。とくに神になるツカサという女性が、村々の神事にどうかかわったか。世界観と他界観、シャーマンの世界など、興味のある問題が展開する。

<主な内容目次>
刊行に寄せて
宮古群島図
第1部 宮古島の世界観と他界観
 第1章 宮古島からの発言
  1 沖縄学との出会い
  2 柳田民俗学と他界観念
  3 宮古島の「世」観念と他界観念
 第2章 宮古島民俗文化研究の課題
  1 信仰形態とその秘事性
  2 神話の原質
 第3章 他界観念の構造−根の信仰について
  1 根の国の観念について
  2 ニルヤ・カナヤと遠来神
  3 遠来神としての龍宮神
  4 ンナフカ・ユークイ祭りと来訪神
  5 南島都子の他界観念の特質について
  6 宮古島における他界観念の構造
    1 双分制及び二元的対立の世界観念
    2 現世の社会と他界の座標について
  7 結論として
    1 双分観より三分制へ
    2 三分制の他界観念
 第4章 宮古島をめぐる海上の道
  1 柳田国男と宮古島の出会い
  2 根の国の信仰に見る他界観
  3 リウグ神への信仰形態
  4 リウグ他界の祖型を求めて
  5 来訪神としてのリウグ神
  6 宮古島における他界観念の構造
 第5章 宮古島のシャーマニズム
  1 宮古における神観念
  2 神がかりゃ、サス、ムヌス等の職能制
  3 神がかりの諸相
  4 神がかりの諸形態−マウ神
  5 神がかりゃの様相
  6 神がかりゃ、ムヌスの他界観
  7 シャーマンと住民の他界観
  8 他界観念の図式化
  9 シャーマンの他界観念
  10 神がかりのシャーマン性
  11 シャーマンの発生起源
  12 シャーマンとしてのツカサ、サス神人の発生
  13 現代におけるシャーマニズムの課題
  14 巫女の分類
第2部 宮古島の信仰と祭祀
 第1章 宮古島の信仰と祭祀
  第1節 狩俣
    1 拝所
    2 神役組織
    3 主な祭祀
    4 家・屋敷の信仰
  第2節 島尻
    1 拝所
    2 神役組織
    3 島尻の祖神祭
    4 島尻のパーントゥ・プナハ
    5 島尻・狩俣・久松のシツ祭り
  第3節 久松
    1 拝所
    2 神役組織
  第4節 一般信仰
    1 里の神信仰
    2 マウ神信仰
    3 家庭の依頼祈願
 第2章 狩俣部落の年中行事と祭祀
  1 一月の年中行事
  2 旧暦二月の行事
  3 旧暦三月の行事
  4 旧暦四月の行事
  5 旧暦五月の行事
  6 旧暦六月の行事
  7 旧暦七月の行事
  8 旧暦八月の行事
  9 旧暦九月の行事
  10 旧暦十月の行事
 第3章 宮古狩俣の「祖神にーり」
 第4章 狩俣村における結婚(ササギ)について
 第5章 久松(久貝・松原)の年中行事−日取り帳の祭祀記録
  1 はじめに
  2 年中行事総覧
第3部 宮古島の伝承と習俗
 第1章 宮古島の水と民俗
  1 水汲みの風俗
  2 水の貯え方
  3 水の保存確保の方法
  4 水汲み用具
  5 用具を造る人
  6 天水、流れ水、泉の名称
  7 洗濯用水と飲料用水
  8 入浴のことなど
  9 水の運搬
  10 水汲みの変遷と井戸の歴史
  11 水げんかと水祈願
  12 シンボルとしての水
  13 宮古島のシツ祭
  14 シツ祭の内容
  15 シツの「バーミズ」
  16 シツの「ユーサバリ」
  17 狩俣村のシツの井戸ふさぎ
  18 砂川村のシツ祭
  19 産水について
  20 不老の水、若水、スデ水
  21 死水の使い方
  22 水の民俗
  23 雨乞い祭事
  24 アヤゴにあらわれた水の民俗
  25 宮古島古来の泉とその由来
  26 宮古島の降り井戸・泉、および所在と名称
 第2章 南島の妖怪について−宮古島の場合−
  1 マジムンの系譜
  2 マジムンとの出会い
  3 マジムンに持たれた話
  4 生きダマスのこと
  5 ザーの話(民話の中のマジムン1)
  6 カタイラマーカとマジムン(民話の中のマジムン2)
  7 月をみていたマジムン(民話の中のマジムン3)
  8 マジムンの仲間達
  9 魔の時間帯
 第3章 葬送の習俗「魔よけ」
  1 宮古島諸島に習俗としてみられる呪物としての「魔よけ」の儀礼
  2 葬送における供養の儀礼とその習俗
  3 伊良部村 前里添でのメモ
 第4章 久松部落におけるギガズン墓とその葬法について
  1 異常死とは何か−ギガズンの分類
  2 ギガズンに対する現代の対応
  3 久松部落でのギガズンの葬制について
  4 水死者の場合の葬法について
  5 大神島の民俗変容と葬・墓制の変化
 第5章 宮古島の民間信仰
  1 夕占について
  2 サラタテの祝い
  3 マウウサゲ
  4 茅輪(狩俣)
  5 ムスルン(虫送り)
 第6章 葬送に関する慣行習俗語彙
 第7章 宮古島の十六日祭
 第8章 宮古島における「虫送り」の行事について
  1 ムルンについて
  2 平良市久貝、松原のムルウ・ムスルン
  3 上野村宮国部落のムルーン
  4 ムルンの方言
  5 来間島のムスヌン
 第9章 「縄ぱい」のこと
 第10章 平良市下里の婚姻
[付]資料
 宮古島における民俗芸能及び歌謡の分布
 平良市下崎・万古山・御嶽道開け縁起
索引
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