書名:近世琉球国の構造
副題: 
叢書名: 
著者名:梅木哲人 著
発行日:2011.12.15
ISBN:978-4-8042-0783-4 C3021 \9000E
判型:A5判
頁数:552頁
定価:本体9,000円+税

本州を中心にした地域で沖縄琉球を異域・異国あるいは附庸と思っていた間に、南島では独自の時間が経過し、国家形成が行われ、その後活発な対外活動を行うようになり、国家の繁栄を築きあげてきていた。しかし東アジア世界の変動の一角で二つの歴史が交わったことで、沖縄琉球は新しい時代に入った。近世沖縄琉球の時代である。第10回徳川賞受賞。

<主な内容目次>
T 政治構造
 第一 士族社会の構成
  はじめに
  一 家部と家統
  二 地頭制・知行制・役知制・扶持制
  三 遣使と家部
  四 政府財政の概要
  おわりに
 第二 地頭制の構造―総地頭・脇地頭・夫地頭―
  はじめに
  一 大やくもいと地頭
  二 間切と地頭
  三 夫地頭・おゑか人
  四 地頭作得
  五 地頭制と知行制
  おわりに
 第三 評定書の機構と評定書文書
  はじめに
  一 評定書機構と文書作成
  二 「各月日記」と評定書
  三 「廻文」の伝達
  四 「帳当座日記」と御物奉行
U 基礎構造
 第一 土地制度と農民―「地割制」の問題性―
  はじめに
  一 「地割制」の近世的特徴
  二 「地割制」と「地人」の関係
  おわりに
 第二 石高制の構造―納米・出米および財政―
  はじめに
  一 薩摩藩の石高と納米・出米
  二 琉球国知行高目録
  三 琉球国における納米・出米と地頭作得
  四 琉球国財政の石高構成
  おわりに
 第三 久米島の規模帳・公事帳―沖縄における近世文書―
  はじめに
  一 「久米具志川間切規模帳」(道光十一年)
  二 「公義帳」(雍正十三年)と「久米仲里間切公事帳」(雍正十三年)の同一性
  三 雍正十三年の公事帳と道光十一年の公事帳の関係
  四 「久米仲里間切諸村公事帳」(道光十一年)
  五 沖縄における規模帳・公事帳の分布と残存
  六 公事帳の成立
  七 規模帳・公事帳の史料的性格
  おわりに
 第四 八重山の近世文書と士族社会
  はじめに
  一 八重山における近世文書の存在形態
  二 八重山における士族と行政機構
  おわりに
 第五 太平布・上布生産の展開について
  はじめに
  一 十六世紀後半の琉球における布の生産の発展
  二 中世末から近世初期の日本の苧布の生産状況
  三 近世八重山における苧布の生産
  おわりに
V 幕藩体制と琉球国
 第一 琉球国の起請文
  はじめに
  一 国王および摂政・三司官の起請文
  二 起請文の作成と保管
  三 琉球国と起請文
  四 幕藩体制と起請文
 第二 琉球使節と国王書翰―「幕藩制のなかの異国」の構造―
  はじめに
  一 国王の即位と使節
  二 幕府への国王書翰
  三 正徳期の書翰問題
  四 正徳期書翰問題の前提―朝鮮国王書翰と殊号問題―
  五 琉球使節と冊封
W 東アジア国際社会と琉球国
 第一 明代の琉球・中国関係
  はじめに
  一 明代中国の対外政策と市舶司制度
  二 琉球国の朝貢と冊封
  三 明代における琉球国の貿易活動
  おわりに
 第二 薩摩藩進入直後の琉球・中国関係
  はじめに
  一 馬良弼(名護親方良豊)の中国遣使と「三事」の要求
  二 島津家史料『琉球国中山王條疏』について
  史料 『琉球国中山王條疏』
 第三 「薩摩藩の琉球貿易」の成立と銀の問題
  はじめに
  一 進入後の進貢の回復と清代福州柔遠駅貿易の実現過程
  二 「薩摩藩の琉球貿易」の成立と銀の問題
 第四 琉球貿易における日本銀―薩州御渡銀と銀座―
  はじめに―日本銀についての認識―
  一 近世日本における通用銀の成立と吹替
  二 薩摩藩・琉球国の中国貿易と日本銀
  三 薩州御渡銀と銀座
  おわりに
附論 戦後の近世沖縄琉球史の研究史覚書
論文初出一覧
あとがき
索引
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